遺産相続したけども、誰も住まなくなった親の家。
もとは親が住んでいた家だし売りたくない、あるいは、売ろうにも売れない。といった場合、他人に貸し出してはどうか?という選択肢も考えるかと思います。
そこで、今回の記事では、「親の家を貸す」という選択は合理的なのかどうか検討するために、収支の計算方法をお伝えしたいと思います。
親の家を貸しに出すのは非経済的?
他人に家を貸す場合に考えないといけないことは、貸しに出した時に賃料として入ってくるお金と税金や修繕費など出ていくお金の、つまり「収支」です。
これをシミュレーションしてみましょう。
収入
収入には、毎月入ってくるものと一時的に入ってくるものの2つがあります。
[“毎月入ってくる収入”]毎月の家賃・・・借り手が毎月決まった日までに家主に支払うお金。しかし、これは常にその家に借り主がいるのか。と言えば、そうではないので、低めに見積もりましょう。
管理費・・・共益費と言ってもいいでしょう。これも、物件の借り手がいれば、毎月確実に入ってくるものですね。
[“一時的に入ってくる収入”]礼金・・・新しく契約する時に、家主に対して、借り手がお礼として支払うお金のことです。相場としては、毎月の家賃の1ヶ月~2ヶ月程度。しかし、近年は礼金なしで入居募集している物件が多いので、場合によってはもらえないお金です。不動産会社と相談しましょう。
更新料・・・契約の更新時に、借り手て家主に対して支払うお金です。だいたい新しい家賃の1ヶ月分が相場ですが、これも近年はもらえないケースが多いですね。
[“借り手から預かるお金”]
敷金・・・家賃の滞納や借り手の過失による修繕費を補う目的で、契約時に家主が借り手から預かっておくお金です。相場としては、家賃の1ヶ月~2ヶ月程度のお金。
退去時に、借り手が家賃を滞納している場合や故意過失により部屋が損傷している場合、敷金からその金額を差し引き、残りの金額を家主から借り手に返すことになっています。
支出
支出も、毎月確実に出ていくお金と一時的に出ていくお金の2種類があります。
[“毎月出ていく支出“]管理委託費・・・もし物件の管理を不動産管理会社に委託するなら、この費用がかかってきます。
業務内容としては、入居者からの家賃収納管理やクレーム対応、建物の清掃や修繕などがあります。
管理料の相場は、家賃の5%程度の金額です。
そのほかにも、固定資産税、都市計画税、管理費・修繕積立金(マンションの場合)が毎月出ていく支出項目として挙げられます
[“一時的に出ていく支出“]
貸しに出す時のリフォーム費用・・・持ち物件が古い場合、物件のリフォームは必須です。また貸しに出した後も、洗面所や台所、風呂場など設備面で何か不具合が生じる可能性があります。
その際にメンテナンス費用はその都度かかってきますし、また退去時にはそれまで住んでいた分の損傷があるでしょうから、その補修も必要になってきます。
仲介手数料・・・入居者を新規募集し、契約が決まった際に、不動産仲介業者に家賃の0.5ヶ月~1ヶ月分(+消費税)を相場として支払う必要があります。
その他経費・・・地震火災保険料、通信費など
これら収支を整理し、貸しに出した時に利益が残るかどうかを精査していくことで、あなたの家の実力が測れます。
全体収支=(毎月入ってくる収入+一時的に入ってくる収入)-(毎月出ていく支出+一時的に出ていく支出)
これが計算式ですが、いかがでしょうか。貸し出すメリットがありそうでしょうか。
その家がどの地域にあるのかによって変わってきますが
もし、物件を兄弟姉妹で名義分けしているならば、その分均等割りしたものがあなたの収入になります。
ただし、リフォーム費用については、借り手が自分で費用を出しDIYで思い思いの内装にしてしまうことを許可する形で貸してしまえば、リフォーム費用を貸し手が負担することはなくなります。
この場合、借り手はDIY契約を飲むということですから、比較的長期間継続して、住んでもらうことが期待できますから、貸し手からすれば、家賃収入が安定しますし、借り手にとっても、リフォーム費用を自費で賄っているため、その分毎月の家賃は低く設定されるのが通常です。
もちろん借り手がすべて自分で修繕等する必要はなく、他のプロに頼むこともあるでしょう。
借り手からすれば、好きな内装にすることができますし、もし家を出るとなったとしても、原状回復義務(元通りにする義務)がないのも借り手にとっては大きなメリットです。
まとめ
物件が都市部にあるのか田舎部にあるのか、築年数はどれくらい経っているのか、など競争力があるかどうかをしっかり見極めないと、貸しに出したところで毎月赤字を垂れ流すことになりかねません。
すべての数字を検討したところ、収支バランスが悪い、あるいはほんの少ししか利益が残らず、その利益を得るための労力や時間的コストを考えると、非経済的だということであれば、物件の価値は年々下がっていきますから、できるだけ早くに売ってしまうことをオススメします。
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