空き家になった親の家を誰か入居希望者に貸すことにした時、どのようなことに気を付ければよく、またどのように進めていけばよいのでしょうか。
この記事では、どのように物件の借り手を探してくるのか、契約時に注意すべきこと、また入居決定後の対応方法について、記していきます。
Contents
親の家の借り主の見つけ方
どのようにして、物件の借り手を探してくるのかですが、不動産仲介業者に依頼するのが通常です。
まず、不動産会社数社に物件がいくらで貸し出せそうか評価・査定をしてもらいましょう。不動産会社の数は、2~3社程度でよいでしょう。
依頼先の会社は、物件がある地域の賃貸契約に実績のある会社にしましょう。
賃料の査定依頼の際は、いずれの会社に対しても、同じ条件のもと査定してもらうために同じ物件概要・設備等の損傷部分を提示説明することに注意しましょう。
しばらく待てば、査定金額が出てきますから、その数字になる根拠を担当者に説明してもらいましょう。
最終的に仲介を依頼する不動産会社の選定基準
さて、不動産会社から査定賃料が出てきました。その数字を見て、できるだけ高く貸したいと思うのが本音ですから、つい最も賃料を高く査定した不動産会社に賃貸仲介を任せてしまいがちです。
しかし、賃料は高ければよいというものではありません。当然、その地域の賃料相場からかけ離れていると、いつまで経っても入居者が決まらないという事態になってしまうからです。
先ほどもお伝えしましたが、重要なのは、賃料の査定根拠です。その賃料がはじき出された根拠を担当者から聞き、心から任せられると確信した信頼できる不動産会社に依頼するようにしましょう。
またそれ以外にも、仲介依頼後、借り手をどのように探し出してきてくれるのか、業務フローの確認をしておくことも、その会社が信頼できるかの判断材料になるでしょう。
①物件の賃料査定と入居者募集条件の確定
物件の募集条件とは、家賃(共益費を含む)・敷金・礼金の金額のことを言います。
②入居者募集業務
貸主と募集条件について合意したら、いよいよ入居者募集を始めます。具体的には、WEB上そして情報誌、指定流通機構に情報を掲載し、見込み客に情報を伝播していきます。もし、問い合わせがあれば、不動産会社担当者が現地まで物件紹介の案内に向かいます。
③入居申込み&決定
問い合わせがあった見込み客と募集条件について交渉し、実際に入居申し込みがあれば、家賃の支払い能力があるかどうかの書類審査に入ります。審査に通過すれば、後々トラブルにならないように契約に関して重要事項説明をします。
④賃貸契約成立&入居手続き
契約書に印鑑を押してもらえれば契約成立。契約金を受け取り、物件のカギを引き渡します。
不動産賃貸仲介会社との契約時に知っておくべきこと、決めておくべきこと
さて、仲介を依頼する不動産会社が決定しました。その時に考えるべきなのが、客付けの依頼方法です。
選択肢は二つ。「媒介」か「代理」です。結論としては、代理の方が良いでしょう。というのも、媒介契約だと入居者が決まった時に、実際に契約書を交わして重要事項等を説明するのは、あなた。つまり、家主だからです。
すぐにわかるかと思うのですが、これは非常に手間だからです。特に物件が今住んでいるところから遠く離れている場合、いちいち移動して契約を結ぶなんてことはとてもじゃないですが、できません。
ですから、お客さんを見つけてきてもらうところから最終の契約締結、鍵の受け渡しもすべて不動産仲介会社にやってもらったほうがよいです。
次に、不動産仲介業者にあらかじめお願いしておくこととして、入居者管理業務があります。これは、入金管理や入居者からのクレーム対応&修繕依頼など入居後の業務のいっさいすべてのことを言うのですが、これもいっさいがっさい不動産会社に一任した方がよいです。
しかし、これら管理業務には毎月費用が発生するのが通常です。すべて無料でやってくれることは万に一つもないでしょう。
ですから、家賃収入から考えて、管理業務委託費用が払ってもいいと思える金額かどうかを検討する必要があります。
管理業務すべてを任せるには費用的に厳しいということであれば、どうしても任せたい業務だけを任せて、管理業務費用を圧縮することもできるはずです。
不動産賃貸業における管理業務とは、入居者管理業務と建物管理業務の2つに大別されます。
これに関連してんなんですが、入居人が決まったからと言って、手放しで喜べるわけではなくって、後々トラブルが発生することは多々あります。
- 設備不良・故障
エアコンや換気扇、ウォシュレットが動かない、カーテンレールの留め具がはずれている、シャワーヘッドが欠けている、などが代表例でしょうか。
修繕対応について不動産会社に任せているというケースでも、迅速に対応するためにも、修理業者に対して個人的に連絡がとれるようにしておいたほうがよいでしょう。
- 隣近所へのクレーム
騒音問題が大半ですね。爆音で音楽を鳴らしていたり、マンションですと「上の部屋の足音がうるさい」「隣の部屋の声がうるさくて寝れない」なんていうクレームが考えられます。
- 家賃滞納
ただ忘れていたのであれば、連絡してすぐに対応してくれるでしょう。しかし、厄介なのは「支払い能力がない」「支払いたくない」と言っているケースです。
この場合、まずは電話や郵便・自宅訪問で家賃を支払ってもらうよう催促し、それでも滞納が続くようであれば、連帯保証人への請求、それでもダメなら弁護士や公的な窓口への相談という順番で対応することとなります。
最終的には、契約を解除し強制退去となることも考えに入れておかねばなりません。
- 退去が決まった時の修繕費用の負担割合
退去が決まれば、敷金を預かっている場合、敷金を退去者に返す必要があります。敷金は、入居者が家賃を滞納していたり、故意に部屋を損傷させていたり、といったことがない限り、全額返金するものだからです。
では、どういった点でトラブルになるのかと言いますと、物件の損傷部分に対する修繕費は貸主と借主どちらが負担するのか。という点です。
これを難しい言葉で説明すると、「原状回復義務は貸主と借主どちらにあるのか」という話になるのですが、国土交通省がこれについて指針を定めています。
①建物・設備等が時間がたつにつれて自然に古くなって壊れたり、すり減ったりするものを経年変化といいます。
②借主の通常使用によって壊れたり、すり減ったりすることを通常損耗といいます。
③借りた人の故意、過失、相当の注意を払って使用、管理しなかった、などで生じた損耗
借主の故意、過失、相当の注意を払って使用、管理しなかった、などで生じた損耗のうち、①②は貸主が、③は借主が修理の負担をしなければならない、というものです。
以上のルールに乗っ取って、負担割合を決めていくことになります。不動産会社に任せているならば、基本的に担当者がすべて処理対応してくれるでしょう。
- 各種保険
地震保険(火災保険を含む)はもちろんのこと、施設賠償責任保険にも加入しておくことをオススメします。
これは、例えば、雨風が原因で物件の屋根瓦が飛んでいき、通行人にケガを負わせたり付近に駐車している自動車の窓ガラスを割ったといった時の損害賠償金を補償してくれる保険です。
もしもの時のために力になってくれる保険ですし、保険料も年間で数千円程度のすごく負担が軽い保険ですので、必ず加入しておきましょう。
最後に、入居者との賃貸契約期間についてですが、必ず「定期借家契約」にしておきましょう。つまり、期限を決めて、その間だけ住んでも良いこととするものです。
というのも、半永久的に住むことを許してしまうと、物件を貸すことをやめてもう売ってしまいたいと思ったとしても、入居人の「住む権利」は法律上保障されてしまっていますので、貸し手側は「出ていってくれ」とは言えないのです。
ですから、必ず入居期限のある契約内容にして欲しいわけですが、定期借家契約のポイントは以下の通りです。
◆契約期間・・・あらかじめ設定した契約期間満了次第、部屋の明け渡しとなります。これを入居者に契約時に必ず説明しておく必要があります。でないと、定期借家契約は無効となり、普通借家契約となってしまうので注意してください。また、契約更新は貸し手借り手双方いずれかから申し出がない限りありません。
◆契約期間が終了した時・・・入居者が1年以上物件を借りる場合、その契約期間が終わる1年前から半年前までの間に、貸し手は借り手に対して契約終了の告知義務があります。もちろん、この時に契約更新を借り手に求めることもできます。
◆中途解約について・・・入居人は契約期間満了を待たずして、解約を申し出ることができます。この場合、解約の申し出日から1ヶ月が経てば、自動的に契約は終了します。ただし、この権利は床面積200㎡未満の家に住んでいる借り手のみに与えられます。
親の家を解体して、更地にして貸すのはどうか?
築年数が30年以上経過していたり、古くなると、家として貸すのはあきらめて、いっそのこと取り壊してしまい、更地にして人に貸すという手段も考えられます。
この場合、駐車場・駐輪場・バイク置き場・トランクルームとして貸し出すのが一般的で、そのほかにも、自動販売機を置いたり、建築業者の資材置き場としての貸し出し、あるいは田舎部であれば貸し農園、あるいは太陽光パネルを設置するケースも見られます。
更地にして貸し出す場合も、その地域事情に詳しい町の不動産会社に相談してみるとよいでしょう。
また家の取り壊し費用については、全額自己負担をしなくても、地方自治体によっては全国の空き家問題対策の一環として援助金をもらえたり、固定資産税が安くなる可能性があります。
ただし、これは地域によって事情が異なるので、地方自治体に確認してみるようにしましょう。
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